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年中行事

啓蟄(けいちつ)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

啓蟄とは、二十四節気(にじゅうしせっき)(注1)の1つで、第三の二月節(注2)です。「啓」は「開く」、「蟄」は「虫などが土中に隠れ閉じこもる」の意味があり、土の中で縮こまっていた虫(蟄)が穴を開いて(啓いて)動き出す日のことです。春の季語でもあります。現在広まっている定気法(注3)では、太陽黃経(たいようこうけい)(注4)が345度に達する日を指します。

日付や時期

3月6日頃。元々は旧暦(注5)で定められており、新暦(注6)では年により日が変わる場合があります。
大地が温まり冬眠をしていた虫が穴から出てくる時期とされ、江戸時代に太玄斎(常陸宍戸藩の第5代藩主松平頼救)が記した暦についての解説書『暦便覧(こよみべんらん)』には、「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されています。

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由来・起源・制定

二十四節気は、紀元前の中国中原(ちゅうげん)、中華文化の発祥地とされる黄河中・下流域にある平原の気候や気温を考慮して作られた暦です。中国から日本に伝わったのは飛鳥時代と言われますが、地理的な関係から日本の気候や気温とは言葉的なズレや意味的なズレが発生することがあるとも言われています。日本でも使用されていた旧暦(太陰太陽暦)ですが、月の満ち欠けを元にしているために1ヶ月が約29日しかなく、太陽の公転による季節の動きとは1年で11日ほどズレが生じてしまうのです。数年に一度、閏月(うるうづき)を設けて13ヶ月ある年を作ることで対応していましたが、暮らしの上では不便でした。そのため太陽の動き(黄道)を元に1年を24等分して、季節の節目を表す言葉が付けられました。
日本で「啓蟄」が名称として用いられたのは、貞順の改暦(注7)の時からと言われています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

柳の若芽が芽吹き、ふきのとうの花が咲く頃と言われています。

脚注

(注1)二十四節気:1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。農業などのための季節の指標。
(注2)二月節:二十四節気は、節と中が交互にあり、その正月中。
(注3)定気法:二十四節気を配置する方法の1つで、 周天を24等分し、太陽が1等分点を通過するごとに1つの節気の日付を定めたもの。
(注4)太陽黃経:太陽が天球上を通る経路(黄道)を等角に分割した座標。 特に春分点を座標ゼロとして360度に当分したもの。
(注5)旧暦(太陽太陰暦):1872年に採用された太陽暦(新暦)に対して、それ以前に用いられた太陰太陽暦を言う。月の満ち欠けと太陽の動きを元に作られた暦。
(注6)新暦:ローマ教皇グレゴリウス13世が制定し、1582年10月15日金曜日から執行されている暦法。 現在「太陽暦」として世界各国で用いられており、「新暦」と呼ばれる。日本では旧暦(太陰太陽暦)に代わって、1873(明治6)年から採用されている。
(注7)貞順の改暦:862年施行の中国伝来「宣明(せんみょう)暦」を、1685年(貞享2)に改暦したこと。

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