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年中行事

初夢(はつゆめ)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

初夢は、元日または1月2日に見る夢のことです。 広い意味では、新年のある特定の日に見る夢を指します。さらには、その年に最初に見る夢のことを言う場合もあります。夢の内容で、1年の吉凶を占う風習があります。

日付や時期

一般的には、1月1日から2日にかけて、あるいは2日から3日にかけてのいずれかの夜に見る夢を言います。

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由来・起源・制定

室町時代にはすでに初夢についての記述がある文献があります。江戸時代に「大晦日から元日」「元日から2日」「2日から3日」の3つの初夢説が言われ始めました。「元日から2日」の説が誕生したのは、大晦日から元日にかけての夜は眠らない風習ができたことが理由とされます。「2日から3日」の由来・起源ははっきりしませんが、書初めなど多くの新年の行事が2日に行われるようになったことに影響されたためとも言われています。
江戸時代後期には「2日から3日」説が主流となりましたが、明治の改暦(注1)後は「元日から2日」とする人が多くなりました。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

初夢に見るとその年の縁起が良いとされるのは、「一富士二鷹三茄子(いちふじ、にたか、さんなすび)」と言われます。これはすでに江戸時代初期の文献に見ることができます。
・徳川家縁の地である駿河国での高いものの順。富士山、愛鷹山、初物のなすの値段(『甲子夜話』)
・富士山、鷹狩り、初物のなすを徳川家康が好んだことから。(『史疑 徳川家康事績』)
・富士は日本一の山、鷹は賢くて強い鳥、なすは事を「成す」という意味から。
・富士は「無事」、鷹は「高い」、なすは事を「成す」という掛け言葉。
・富士は曾我兄弟の仇討ち(富士山の裾野)、鷹は忠臣蔵(主君浅野家の紋所が鷹の羽)、茄子は鍵屋の辻の決闘(伊賀の名産品が茄子)という意味から。
室町時代頃から、良い夢を見るには七福神(注2)の乗っている宝船の絵に「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)」という回文(注3)の歌を書いたものを枕の下に入れて眠ると良いとされていました。それでも悪い夢を見た時は、翌朝、宝船の絵を川に流して縁起直しをするのが良いとされていました。

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贈答品などについて

東京・浅草などでは、暮れに、回文「長き夜の疾うの眠りの皆目覚め波乗り船の音の良き哉(なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな)」を書いた七福神が宝船に乗った絵をお客様に配るお店もありました。現代でも社員の人たちに配ると喜ばれるかもしれません。

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脚注

(注1)改暦:従来の暦法を廃し,新暦を執行すること。明治5年旧暦の12月3日に当たる日を、明治6年1月1日として改暦した。
(注2)七福神(宝船):福をもたらすとして日本で信仰されている七つの神(恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天)のこと。宝船は七福神が乗る船の名称。
(注3)回文:上から読んでも下から読んでも同音で、どちらからも意味が通る文字列。

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