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神前結婚式/神道の結婚式(しんぜんけっこんしき/しんとうのけっこんしき)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

神前結婚式とは、神社や神殿で神道(注1)の神々に結婚の誓いを立てる、日本の伝統を大事にした神道のに結婚の儀式です。 神事を行う神社の神主が結婚を伝える祝詞(のりと)(注3)を奏上(注4)し、三三九度の杯を交わして玉串をささげ、夫婦の契りを結びます。夫婦の契りとは、自分の命、今までの2人の人生を支えてくれた人々、そして2人が出逢えたご縁に感謝し、神様の見守る前で「永遠の愛」を誓い、この先の人生をともに歩んで行くことを神様に報告することを言います。

由来・起源・制定

『古事記』(注5)『日本書紀一書第一』(注6)に記されている伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)の「国生み神生み神話」では、オノゴロ島に天の御柱を建てたイザナギがイザナミに向かって、「私と貴方と、この天之御柱を廻って結婚しましょう。貴方は右から廻り、私は左から廻り逢いましょう」という約束をし、出会ったところで「なんとまあ、かわいい娘だろう」「ほんとにまあ、いとしい方ですこと」と呼び合って結ばれたという描写があり、それが結婚式の起源とも言われます。今の形の神前式は、後の大正天皇が宮中で初めて皇居内の賢所(かしこどころ)の神前で行ったご成婚の慶事を記念して、1900(明治33)年に日比谷大神宮(今の東京大神宮)が始めたと言われています。そこから神社での結婚式が増え、神前式が日本の結婚式の代表的なスタイルとなっていきました。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

【神前式の流れ(例)】
1.参進の儀式(入場)
巫女(注7)や神職(神主)に導かれた新郎新婦が、境内を歩いて入場します。家族や親族は、その後ろを歩いてご社殿に進み、着席します。
2.修祓の儀
神職(注8)が祓詞(はらいことば)(注9)を述べ、参列者の身の汚れを祓い清めます。
3.献饌
神職が神様にお米やお神酒、海の幸や山の幸などを供えます。
4.三献の儀(三三九度)
三三九度の結び固めを交わす儀式で、新郎新婦にお神酒(みき)が渡されます。口をつけて飲むふりだけで、飲み干さなくても問題ありません。お神酒には、繁栄と魔よけの意味もあります。
5.誓詞奏上(せいしそうじょう)
新郎新婦が、2人で夫婦になることを誓う言葉を読み上げます。
6.玉串奉奠
玉串とは、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけた神への捧げ物です。その榊に願いを込め、それが玉串となって神前に供えます。
7.指輪交換
誓いと共に指輪を交換します。
8.巫女の舞
新郎新婦の門出を祝い、雅楽の調べに乗せて、巫女が舞を奉納します。
9.親族固めの盃
新郎新婦の家族同士の親族固めの儀式で、両家の繁栄を祈りながらお神酒を頂きます。
10.斎主(さいしゅ)挨拶
神職が式を執り納めたことを参列者に告げます。
11.退下
神前に拝礼し、退出します。

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贈答品などについて

神前式では通常挙式後に、白い紙袋の中にお守りやお札、式で宣誓した「誓いの言葉」などを入れた「撤下品(てっかひん)」が授与されます。通称「お下がり」と言われています。
参列者などからの新郎新婦への贈答品は、結婚祝いを参照のこと。

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お金に関する事項

神社で挙式をする場合は、謝礼として「初穂料(玉串料)」を神社に納めます。初穂料(玉串料)の目安は、5万円~15万円ほどです。格式の高い神社であれば、それ以上の費用がかかることもあります。また、式料に初穂料(玉串料)が含まれている場合もあれば、別で納める場合もありますので、式の費用に関しては事前に神社に確認しておくことをお勧めします。
参列者などからの新郎新婦へのお祝い金は、結婚祝いを参照のこと。

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返礼やお返しについて

新郎新婦からの返礼については、結婚祝いを参照のこと。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

神社にお金を奉納する場合、表書は「奉納」「初穂料」「玉串料」などとします。のし袋の水引は赤白の「結切」「あわじ結び」が基本です。名入には、会社名や氏名を記入します。連名で納める場合もあります。
お酒など品物を奉納する場合ののし紙も同様です。
お祝いの品やお祝い金ののし紙や表書きは、結婚祝いを参照のこと。

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服装やマナーなど

新婦は原則として「和装」で、白無垢(注10)、色打ち掛け(注11)、本振袖(注12)などを着用しますが、黒引き振袖(注13)+角隠し(注14)を選ぶ新婦もいます。 新郎は黒五つ紋付き羽織袴(正礼装)(注15)を着用します。基本的には、式に続いて開かれる披露宴も同じ服装です。

【男性出席者の服装】
フォーマルな服装で出席するのが基本です。昼間(日中)の式であれば「モーニング」、夜であれば「燕尾服(えんびふく)」または「タキシード」が正礼装で、主には新郎新婦の父親が着用します。
準礼装と言われるのは、昼間の式であれば「ディレクターズスーツ」、夜であれば「ファンシータキシード」です。ディレクターズスーツとは、ブラックのジャケット、ブラックとグレーのストライプのスラックス(コールパンツ)組み合わせのスーツのことです。ファンシータキシードとは黒や濃紺、白以外のタキシードの総称で、カラフルな色や柄のジャケットに黒のスラックスを合わせるものです。
略礼装と言われるのは、昼夜に関係なく、黒またはダークカラーのスーツです。
親戚・親族、職場の上司、同僚、部下後輩、友人・知人などは、準礼装、略礼装を着用することが多いです。
その他、シャツ、ネクタイ、ポケットチーフは、白が基本です。靴、靴下は黒で、靴下はくるぶしが見えないものを着用します。

【女性出席者の服装】
男性と同じように、フォーマルな服装を選びます。留袖(注16)やアフタヌーンドレス(昼)、イブニングドレス(夜)が正装に当たりますが、一般的には新郎新婦の母親が着ることが多いです。
その他の親族や同僚・友人の女性は、洋装であれば肌の露出は控えた、膝が隠れる丈のフォーマルなドレス、ノースリーブドレスの場合はボレロ(注17)やショール(注18)を羽織るようにします。また着物もフォーマルと位置づけられるので、訪問着や付下げ(注20)、未婚であれば振袖も結婚式にふさわしいとされます。

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その他の事項(宗教に関する事など)

場所は神社の他、披露宴を行うホテルなどの会場に併設されている神殿で行われ、神道に則った儀式となります。

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脚注

(注1)神殿:神社の本殿。また、宮中三殿の一つ。(先祖の霊)の観念に基づく信仰。
(注2)神道:古代日本に起源をたどるとされる宗教。八百万の神、自然崇拝や祖霊
(注3)祝詞(のりと):神道の祭祀において神に対して唱える古体のことば。
(注4)奏上:天子・国王などに申し上げること。
(注5)古事記:太安万侶が編纂し、元明天皇に献上された日本最古とされる歴史書。
(注6)日本書記:奈良時代に成立した日本の歴史書。
(注7)巫女:神に仕える未婚の女性。
(注8)神職:神社に仕える者。神主。
(注9)祓詞(はらいことば):神事の前に必ず行われる祓の時に唱えられる祝詞の1種。
(注10)白無垢:表裏白一色で仕立てた和服。
(注11)色打ち掛け:結婚式に花嫁が着る和装の1つで、羽織のように打ち掛けて着るもの。白一色の「白無垢」に対し、色柄、刺繍などが施された華やかな衣装。
(注12)本振袖:振袖の着物の1種。振袖には袖丈の長さが異なる本振袖・中振袖・小振袖の3種類があり、本振袖は明治より花嫁衣装とされる。
(注13)黒引き振袖:黒を基調にした婚礼衣装の1つ。通常の振袖の着付にある「おはしょり」部分を取らず、裾を引いた着方をするのが特長で、江戸時代後期から昭和初期に一般的に使われていた花嫁衣装。
(注14)角隠し:婚礼の際、和装の花嫁が「文金高島田」と呼ばれる日本的な高い髷(まげ)を結った髪の上に、頭を覆う形で被る(注12)帯状・幅広の布。
(注15)羽織袴:男性の第一礼装または正装とされる和服。
(注16)留袖:既婚女性が着用する最も格の高い和服の礼装。
(注17)ボレロ:前開きで丈が胴より短いジャケット。スペインの闘牛士の衣裳のデザインを、婦人服や子供服に取り入れたもの。
(注18)ショール:装飾や防寒を目的として、肩や上半身に掛けて着用する衣類の一種。
(注19)訪問着:留袖の次に格式の高い女性用の着物。既婚・独身に関係なく、様々な年齢の女性が着用できる。
(注20)付下げ:準礼装着とされる女性用の着物。訪問着に次ぐ格式。

 

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