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神式法事・法要(しんしきほうじ・ほうよう)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

神道(注1)では、仏教の法事・法要に当たる行事を「霊祭(れいさい、みたままつり)」、死後1年から2年の「式年祭(しきねんさい)」と言います。故人の御霊を慰め鎮めることを目的としています。

日付や時期

神式では、「葬場祭」または「神葬祭」と呼ばれる葬儀の後、10日ごとに霊祭を行い、「五十日祭(ごじゅうにちさい)」で忌明けとなります。
亡くなった翌日に「翌日祭(よくじつさい)」、亡くなってから10日目に「十日祭(とおかさい)」、30日目に「三十日祭(さんじゅうにちさい)」。50日目に「五十日祭」、故人の死後100日目に「百日祭(ひゃくにちさい)」、その後は、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭と式年祭が続き、それ以降は5年おきに御霊祭が行われます。

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由来・起源・制定

神道は、日本の民族歴史の中で自然に生まれた民族宗教とされています。他の宗教の多くには教祖や経典が存在しますが、神道は教祖や経典が存在しません。
神道の起源は古く、日本最古の歴史書と言われる『古事記』(注2)には、神道に通じる日本神話が複数掲載されています。さらに、720年に編纂(へんさん)された『日本書紀』(注3)に、神道という用語が初めて登場。実際の信仰の起源はこれより数世紀前、有史以前にさかのぼると言われています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

神道の様々な弔事に関する儀式は、家や墓前、納骨堂(注4)の礼拝所などで行われます。神聖な場所とされている神社では神式の法事「神事」が行われることはあまりありませんが、状況によって社務所で行うこともあるようです。厄払いや祝福などの祭りごとをする場所であり、神聖な場所とされている神社では神式の法事「神事」が行われることはありません。神道では、故人の死後100日目までに当たる法要を「霊祭」(れいさい)または「霊前祭」(れいぜんさい)と言い、亡くなって1年目の命日以降の法要を「式年祭」と言います。

【神式の主な法要】
翌日祭(よくじつさい)
葬儀の翌日におこなわれる儀式です。先祖に対して、無事に葬儀が終わったことを報告します。
十日祭(とおかさい)/三十日祭(さんじゅうにちさい)
亡くなってから10日目に当たる「十日祭」と、30日目に当たる「三十日祭」は、仏式でいう「初七日法要」に当たる儀式で、神主が祝詞(神主が神前で唱える言葉)奏上(注5)をおこない、招待された親族や友人が玉串奉奠(たまぐしほうてん)(注6)をします。玉串奉奠とは、玉串を神前に捧げ礼拝する儀式です。儀式が終わった後は、献杯し、故人をしのんで会食するのが一般的です。
五十日祭(ごじゅうにちさい)
亡くなってから50日目に当たる「五十日祭」は、仏式でいう四十九日に当たる儀式です。この日をもって、遺族が故人のことを祈って喪に服す忌中(きちゅう)期間が終わります。五十日祭では、葬儀の際に神棚や祖霊舎(それいしゃ)(注7)に貼った白い紙をはがす「清祓いの儀(きよばらいのぎ)」という儀式も行います。また「合祀祭(ごうしさい)」と「意義式」も合わせて行われることも多く、それによって故人の霊が一家の守護神になります。
百日祭(ひゃくにちさい)
故人の死後100日目に行われる法要で、仏式の「百箇日(ひゃっかにち)」に当たります。百日祭では神前に物を備える献饌(けんせん)、祝詞奏上(のりとそうじょう)、玉串奉奠が行われ、親族や友人などを招いて献杯、会食の場を設けるのが一般的です。
式年祭(しきねんさい)
百日祭以降お法要は、区切りの年に行う式年祭となり、「一年祭」「三年祭」「五年祭」「十年祭」と続き、五十年祭まで10年ごとに行います。

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お金に関する事項

神道の場合、仏式の香典の表書に当たるのが「玉串料」です。「御榊料」「御霊前」とも言います。包むお金の目安は、仏式の法要とほぼ同じです。
【1親等~2親等(祖父母、両親、おじおば、兄弟、子供、孫など)】
五十日祭および一年祭法要の場合:会食あり3万円~5万円、会食なし1万円~3万円
五十日祭および一年祭以外の法要の場合:会食あり1万円~3万円、会食なし5,000円~2万円
【3親等以降並びに血縁者以外】
五十日祭および一年祭法要の場合:会食あり1万円~3万円、会食なし5,000円~1万円
五十日祭および一年祭以外の法要の場合:会食あり1万円~2万円、会食なし5,000円~1万円

「不幸ごとを用意していたようで良くない」という理由から、弔事においては新札を使わないことがマナーとされていますが、法事は突然の事ではないため、清潔なお札を使います。また「4」および「9」は忌み言葉として避けるべき数字とされていますので、9,000円、4万円などお札の枚数が4枚や9枚にならないようにすることもマナーです。

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返礼やお返しについて

霊祭や式年祭などの法要の参列者からいただいた玉串料に対する返礼は、お食事を出して引き出物を用意すればそれが御礼になります。食事会(直会/なおらい)をしない場合は、品物でお返しします。いただいた金額の1/3~半額(半返し)程度が目安と言われています。玉串料は、父母や兄弟でなければ1万円程度が一般的ですので、その後の会食の予算も踏まえ、2,000円~5,000円程度の返礼品を贈るのが一般的です。お茶、海苔、お菓子、紅茶やコーヒーなどがよく選ばれます。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

神式の場合、不祝儀袋は白色のシンプルなものを使用し、水引は黒白または双銀、黄白(西日本)の「結び切り」を用意するようにします。 市販されている不祝儀袋の中には、蓮の花など仏教にちなんだ絵柄が入っているものもあるので、使用しないよう注意しましょう。 表書は薄墨で「玉串料」「御霊前」「御神前」などとするのが一般的ですが、五十日祭を過ぎると薄墨でなくても良いとされています。水引の下段に氏名を記入します。手書で丁寧に書くのが基本ですが、印字する場合は楷書体や教科書体が一般的です。
返礼品に付けるのしは、黒白または黄白(西日本)の「結切」が一般的で、表書は、薄墨で「偲び草」「志」とし、下段には喪主の氏名を記入します。

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服装やマナーなど

神式の法事に参列し、お参りする際(玉串奉奠の際)は、まず神職に一礼し、神前(玉串案前)に一礼、玉串を供えた後で拝礼を行います。拝礼の仕方は、神社に参拝する時と同様「二礼・二拍手・一礼」の通りです。ただし弔事であるため一周忌までは、中間の二拍手は音を鳴らさない「忍び手」で行います。一周忌のあとは拍手です。

お通夜や葬儀・告別式に参列する時は、原則として喪服が基本です。男性は、ブラックスーツ(シングル、ダブル両方可)に礼装用の白いワイシャツ、無地の黒ネクタイ、タイピンやポケットチーフは着けません。女性は、黒いワンピースかフォーマルスーツ(原則として長袖)にします。喪服が用意できていないときは、一周忌まではブラックスーツや仕事着、三回忌からは地味な服であれば大丈夫だとされています。
靴やカバンも黒色で、光沢のないものを選びます。
女性の靴は、つま先が丸いプレーントゥや少し角ばったスクエアトゥが基本で、ヒールは3~5cm程度で、ハイヒールやブーツなどは避けるようにします。女性が宝石を身に着ける際は「涙」を表す宝石とされ、真珠や黒真珠は問題ないとされています。
神式では、数珠は不要です。

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脚注

(注1)神道:古代日本に起源を持つとされる宗教。八百万の神、自然崇拝や祖霊(先祖の霊)の観念に基づく信仰。
(注2)古事記:太安万侶が編纂し、元明天皇に献上された日本最古とされる歴史書。
(注3)日本書紀:奈良時代に成立した日本の歴史書。
(注4)納骨堂:骨壺に入れた遺骨を安置しておく建物。
(注5)奏上:天子・国王などに申し上げること。
(注6)玉串奉奠:神道の儀式で行われる、玉串を祭壇に捧げる儀礼。
(注7)祖霊舎:神道において祖先の霊を祀るための神棚。

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