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キリスト教法事・法要(きりすときょうほうじ・ほうよう)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

キリスト教の法事・法要に当たる儀式を、カトリック(注1)では「追悼ミサ」(注2)と言い、プロテスタント(注3)では「記念集会(記念式)」と言います。追悼ミサや記念集会は故人の命日などに行われるものですが、カトリック教会では毎年11月2日の「死者の日」に、亡くなった信者などのための特別ミサが行われています。 キリスト教には供養という考え方がなく、カトリックでは「死んで肉体が滅んでも、霊魂は神の御許(みもと)に召されて永遠の生命が始まる」と考えられ、プロテスタントでは「死後は天神とともにある」と考えられます。

日付や時期

<カトリックのミサ>
カトリックでは法事・法要にあたる儀式を「追悼ミサ(追悼式)」といい、亡くなった30日目に集まり追悼します。3日目、7日目のミサは、考え方や地域により省略される場合があります。
個人が亡くなってから1年後の昇天日(命日)には、追悼儀式「死者記念ミサ」を行います。
教会に故人の親族や友人などが集まり、儀式が進行します。その後は、その年の命日に
「命日祭」のミサを行います。仏教でいう「お彼岸(3月、9月)」のように11月2日は、「死者の日(万霊節)」という教会でのミサが行われます。ミサの後に墓地の清掃や花を捧げてお参りをしたりします。簡単な茶話会などが行われる場合もあります。
<プロテスタントの記念式>
プロテスタントでは法事・法要に当たる儀式(礼拝)のことを「記念集会(記念式)」と言います。
記念集会は、故人が亡くなってから7日、10日、30日目に、故人が所属していた教会もしくは自宅で行います。その後の記念集会は、1年後、3年後、7年後の記念日(召天記念日・命日)に教会で行われることが多いです。仏教でいう「お彼岸(3月、9月)」のように11月の第1日曜日に「召天記念礼拝」の追悼式を記念式として教会に親族、信者が集まり、聖歌を斉唱し、牧師による祈りと説教が行われます。
墓地の清掃や花を捧げてお参りをしたりします。簡単な茶話会などが行われる場合もあります。
プロテスタントでは、毎年が「永眠者記念礼拝」とされ、教会の聖堂で他の記念式と同様の形式で行われます。プロテスタントでの追悼の記念集会は、故人が亡くなって1年目、3年目、5年目、7年目、区切りの良い10年目などの召天記念日・召天記念日(命日)に開かれることが多いようです。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

カトリックの追悼ミサでは、祈祷・献花・聖書朗読・聖歌斉唱などが教会で行われ、その後、茶話会が行われる場合もあります。
プロテスタントの記念集会も、カトリックと同様に牧師の説教・祈り・聖書朗読・賛美歌斉唱などが行われた後、茶話会にて故人を偲びます。
キリスト教には、故人をまつる特別な慣わしはありませんが、十字架やマリア像を飾り、家庭用の小さな祭壇を置く場合があります。思い出の写真を部屋に飾り、故人が好きだった食べ物や花などを写真の前にお供えしてお祈りします。
プロテスタントの記念集会を自宅で行う場合は、お祈りができる祭壇を作り、遺影と十字架、花を飾ります。牧師、親族、知人を招き、一同が祈りを捧げて礼拝が終わったら、追悼のための「茶話会」などで故人を偲びます。

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お金に関する事項

カトリック、プロテスタントともに、教会への謝礼は寄付の意味を持ち金額の基準はありません。地域の慣習により異なりますので、法要に参列する際に「御花料」を包む場合、仏式の金額を参考にするのが良いでしょう。法事・法要/仏式参照のこと。お金をお断りする遺族も多いようですので、できれば事前に確認した方がよいでしょう。

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返礼やお返しについて

キリスト教にも返礼の習慣はあります。御花料や供花を贈られた場合は、日本のマナーとして返礼するのが一般的ですが、地域の慣習により異なりますので、いただいた金額の1/3~半額(半返し)程度が通例です。品物でお返しする場合、お菓子、紅茶やコーヒー、タオルなどの消耗品がよく選ばれています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

キリスト教の弔事でお金を包む場合、ユリの花や十字架が描かれたお金包みか白無地の封筒を使用します。上段に表書、下段に氏名(あるいは連名)を書きます。
カトリック、プロテスタントそれぞれに、お金を渡す相手によって表書が違います。

【カトリックの弔事の表書】
喪主への志としてお金を包む場合:「御花料」
教会への謝礼としてお金を包む場合:「ミサ謝礼」
神父へのお礼としてお金を包む場合:教会の儀式なら「御礼」、自宅に来ていただいた場合は「御車代」

【プロテスタントの弔事の表書】
喪主への志としてお金を包む場合:「御花料」
教会への謝礼としてお金を包む場合:「記念献金」
牧師へのお礼としてお金を包む場合:教会の儀式なら「御礼」、自宅に来ていただいた場合は「御車代」

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服装やマナーなど

遺族の服装は、お通夜・葬儀、その後の法要に至るまで、原則として喪服を着用します。男性は、ブラックスーツ(シングル、ダブル両方可)に礼装用の白いワイシャツ、無地の黒ネクタイ、タイピンやポケットチーフは着けません。女性は、黒いワンピースかフォーマルスーツ(原則として長袖)にします。急の案内で喪服が用意できていないときは、スーツや仕事着でも大丈夫だとされています。
靴やカバンも黒色で、光沢のないものを選びます。
女性の靴は、つま先が丸いプレーントゥや少し角ばったスクエアトゥが基本で、ヒールは3~5cm程度で、ハイヒールやブーツなどは避けるようにします。女性が宝石を身に着ける際は「涙」を表す宝石とされ、真珠や黒真珠は問題ないとされています。

遺族以外の参列者は、原則として喪服を着用しますが、1年を過ぎた後の法要では、比較的地味な服装であれば平服でも問題ないとされています。

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脚注

(注1)カトリック:ローマ教皇を最高指導者として全世界に12億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派。
(注2)ミサ:ローマ・カトリック教会で聖体と聖血の拝領を中心にした、神に感謝し共同体的一体感を深める儀式。
(注3)プロテスタント:16世紀の宗教改革運動の後、カトリック教会から分離して成立したキリスト教の教派。特に福音主義を理念としている。

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