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日本の祭祀・祭礼

ホーム > 日本の祭祀・祭礼 > 高千穂の夜神楽/宮崎県西臼杵郡高千穂町

高千穂の夜神楽(たかちほのよかぐら)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

高千穂の夜神楽とは、宮崎県西臼杵郡高千穂町に伝わる民俗芸能です。 五穀豊穣を神に感謝し、又は来る年の幸を祈る習俗として現在も継承されています。 町内のおよそ20の集落でそれぞれ氏神を民家などに迎えて奉納される神楽の総称です。幸多き秋の実りに感謝し、来年の豊穣を祈願するため神々に33番の神楽を奉納するもので、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

日付や時期

11月11月~2月

由来・起源・制定

高千穂の神楽について研究した小手川善次郎は、この神楽が成立した年代が概ね平安時代の末から源平時代(12世紀後半を指していると思われる)と推定しています。
岩戸地区に残る町内最古の神楽面(注1)「尾迫荒神面(おさこあらがみめん)」(注2)は室町時代の作とされ、また、高千穂神社に伝わる神面は安土時代の作と言われています。
高千穂神社の祭神である三毛入野命(みけいりのみこと)(注3)が鬼八(きはち)(注4)を退治した後に、その怨霊の鎮魂のために始めた「猪(しし)掛け祭」に由来するという説もありますが、この祭りの様式やその中で奉納される「笹ふり神楽」が、神楽を含む「素朴な祭祀の名残」、「高千穂神楽の最古型」という解釈が主流でです。
伝承では、いわゆる岩戸隠れの神話の中で天照大神(あまてらすおおみのかみ)(注5)が天岩戸(あまのいわと)(注6)に篭った際、その前で天鈿女命が舞った舞に起源を持つと伝えられるが、これは全国各地の神楽に対して、一般的に語られていることでもあります。
現在は神道(注7)信仰に基づく行事として行われており、実態は狩猟採集文化や農耕文化の名残を留めつつ、修験道(注8)、陰陽道(注9)、仏教の影響、さらに国学(注10)による修正も伺われ、日本の文化を織り成す多様な要素が混在しています。

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脚注

(注1)神楽面:神楽に用いられる面。 宮中の御神楽では用いないが,地方に伝わる里神楽で使用する。
(注2)尾迫荒神面:豪快な作風の鬼神面。
(注3)三毛入野命:事紀等に伝わる古代日本の皇族。初代天皇である神武天皇の兄。
(注4)鬼八:高千穂の住人に災いをなした荒神。乳が窟に潜んでいたところを三毛入野命に攻められ、追い払われた。
(注5)天照大神: 太陽をはじめ光や慈愛、真実などを象徴する、最も尊い神様と言われており、皇室の祖先とされている。
(注6)天岩戸:弟である素戔鳴尊(すさのうのみこと)の乱暴に怒って、天照大神 (あまてらすおおみかみ) が隠れたとされる洞窟。
(注7)神道:古代日本に起源を持つとされる宗教。八百万の神、自然崇拝や祖霊(先祖の霊)の観念に基づく信仰。
(注8)修験道:役小角(えんのおづの)を祖とする、日本仏教、密教の一派。
(注9)陰陽道:7世紀ごろに、占い・天文・時・暦の編纂を担当する機関である陰陽寮で教えられていた天文・暦道の1つ。
(注10)国学:古事記・万葉集などの古典に基づいて古代日本の思想・文化を明らかにしようとした江戸時代の学問。

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