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日本の祭祀・祭礼

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葵祭(あおいまつり)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

葵祭とは、京都市の賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ/下鴨神社)と賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ/上賀茂神社)で、5月15日(陰暦四月の中の酉の日)に行なわれる例祭です。正式名称は「加茂祭」で、石清水八幡宮の南祭に対し「北祭」とも言います。祇園祭、時代祭と並んで「京都三大祭り」(注1)の1つです。

日付や時期

5月15日

由来・起源・制定

欽明天皇の567年、国内は風雨が激しく五穀が実りませんでした。当時賀茂の大神の崇敬者であった伊吉の若日子に占わせたところ、賀茂の神々の祟りであるというので、若日子は勅命をおおせつかって、4月の吉日に祭礼を行い、馬には鈴をかけ、人は猪頭(ししがしら)をかぶって駆競(かけくらべ)をしたところ、風雨はおさまり、五穀は豊かに実って国民も安泰になったと伝えられています。これが葵祭の起源だと言われています。
平安時代は祭りと言えば賀茂祭のことを指しました。それ以来、国家的な行事として行われてきた歴史があり、日本の祭りの中でも数少ない王朝風俗(注2)の伝統が残されています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

葵の花を飾った平安後期の装束での「路頭の儀」といわれる行列が有名です。勅使(注3)、検非違使(注4)、内蔵使(注5)、山城使(注6)、牛車(注7)、風流傘(注8)、斎王代(注9)など、平安貴族(注10)そのままの姿に扮して列をつくり、京都御所を出発します。人は500名以上、牛馬は約40頭の風雅な王朝行列が、約8㎞の道のりを行列で進みます。
「流鏑馬(やぶさめ)」も葵祭の主要な行事で、現在は5月15日の葵祭に先立ち、5月3日に下鴨神社で行われます。5日には上賀茂神社で、天下泰平と五穀豊穣を祈願する「競馬会神事(くらべうましんじ)」が行われ、下鴨神社では、葵祭の沿道を清めるために矢を射る魔除けの神事である「歩射神事(ぶしゃしんじ)」も行われます。
また上加茂神社では、5月1日に馬体と騎手の組み合わせを決める「競馬会足汰式(くらべまえあしぞろえしき)」が行われます。他に、4日には「斎王代禊の儀(さいおうだいみそぎのぎ)」(注11)が行われますが、場所は上賀茂神社と下鴨神社が1年毎に交代します。

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お金に関する事項

お祭りの際に神社にお金やお供え物を納める場合、1,000円~1万円が目安だとされています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

お祭りの際に神社にお供え物を納める場合、のし紙の水引は赤白の「花結」で、表書きは「奉納」とするのが一般的です。名入には寄進をする人の氏名を水引の下段に入れます。お金を納める際のお金包みも同様とします。

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その他の事項(宗教に関する事など)

神社にお参りをする際は、まず鳥居で一礼し、参道の端を歩きます。手水舎で手と口、体の外と内を清めます。神前の賽銭箱の前まで来たら鈴を鳴らし、お賽銭を入れて二礼二拍手し、手を合わせてお祈りします。その後一礼して神前を離れ、鳥居をくぐって出た後、振り返って一礼します。

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脚注

(注1)京都三大祭:上加茂神社・下鴨神社の「葵祭」、八坂神社の「祇園祭」、平安神宮の「時代祭」を言う。
(注2)王朝風俗:帝王が政治を執り行う際の儀式や行事、服装などの文化。
(注3)勅使:天皇の命令書である公文書(勅旨)を伝えるために天皇が派遣する使者のこと。
(注4)検非違使(けびいし):日本の律令制下の令外官の役職。現在の裁判官と警察官を兼ねたような職務で、平安時代に治安・検察・裁判を取り扱った。強大な権限を持っていた。
(注5)内蔵使(うちくらづかい):内蔵寮の次官で五位の文武兼官。職名は内蔵助。勅使が神前で奏上する御祭文を奉持する。
(注6)山城使(やましろづかい):山城(現・京都府の南部)の国を治める国司の次官、五位の文官。管轄区域にある賀茂の両社(下鴨神社・上加茂神社)の警護を担う。
(注7)牛車:平安時代以後の公家が乗用とした車。牛に引かせて走る4人乗りで、屋形部分に豪華な装飾を施したものが多い。
(注8)風流傘:大傘の上に牡丹など季節の花(造花)を飾り付けたもの。
(注9)斎王代:斎王とは、平安時代に内親王(皇族の女子)が選ばれて祭に奉仕したもの。現在は内親王の代わりに未婚の市民女性から選ばれるため、斎王代と称される。
(注10)平安貴族:平安時代の貴族をさす概念。
(注11)斎王代禊の儀:御禊(みそぎ)を済ませた斎王代は、五衣裳唐衣(いつつぎぬものからぎぬ)、俗に十二単(じゅうにひとえ)の大礼服装で、供奉者にかつがれた腰輿(およよ)という輿に乗って参向する。

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