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精霊流し(しょうろうながし)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

精霊船と呼ばれる藁船や灯籠を川や海に流してお盆に迎えた先祖の霊魂を送る行事。地域によっては灯籠流しなどとも言われますが、長崎県や熊本県では精霊流しとして有名です。

日付や時期

8月15日

由来・起源・制定

精霊流しの起源は諸説あり、1番有力だと言われているのは中国の「彩舟流し(さいしゅうながし)」が伝わってきたという説です。 彩舟流しとは、江戸時代に中国から貿易や通訳のために長崎へ来ていた人達が、航海途中や長崎で亡くなることがあったため、その人達を弔うために行っていた行事のことです。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

長崎では、8月15日の夕方近くになると、チャコン、チャコンという鐘の音と、「ドーイ!ドーイ!」という掛け声が響き始めます。ドーイという掛け声は「南無阿弥陀仏」(注1)が訛った言葉だと言われています。初盆を迎えた故人の家族らが、盆提灯(注2)や造花などで飾られた精霊船(しょうろうぶね)と呼ばれる船に故人の霊を乗せて、「流し場」と呼ばれる終着点まで運びます。
初盆でない場合精霊船は作らず、藁を束ねた小さな菰(こも)(注3)に花や果物などの供物を包み、流し場に持って行きます。精霊流しは午後5時頃から10時過ぎまでかかることも珍しくないため、多くの船は明かりが灯るように作られています。爆竹の破裂音・鉦(注4)の音・掛け声が交錯する喧騒の中で行われます。
精霊船や供物は、以前は実際に海へと流されてましたが、海や河川の環境保護の観点から、長崎市では1871(明治4)年に禁止されました。

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その他の事項(宗教に関する事など)

精霊船は山車(だし)を連想させる華やかなもので、多くの見物客が集まるため、行事自体が「祭り」だと誤解されることもありますが、あくまでも故人を追悼する仏教の行事です。

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脚注

(注1)南無阿弥陀仏:浄土宗・浄土真宗などで、阿弥陀仏(あみだぶつ)への帰依(きえ)を表して唱える語。
(注2)盆提灯:お盆にご先祖さまが迷わず里帰りできるよう、道しるべとして家の仏壇に灯す提灯。
(注3)菰(こも):イネ科の多年草・マコモを粗く編んで作った敷物。むしろ。
(注4)鉦(しょう):芝居の囃子(はやし)などに使う金属の打楽器。

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