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日本の祭祀・祭礼

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祇園祭(ぎおんまつり)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

祇園祭とは、京都市東山区にある八坂神社の祭礼で、明治時代までは祇園御霊会(ぎおんごりょうえ、御霊会(注1))と呼ばれていました。祇園祭は「京都三大祭り(他は上賀茂神社・下鴨神社の葵祭(注2)、平安神宮の時代祭(注3))」「日本三大祭り(注4)(他は大阪の天神祭(注5)、東京の山王祭(注6)、神田祭(注7))」「日本三大曳山祭り(他は岐阜県高山市の高山祭(注8)、埼玉県秩父市の秩父夜祭(注9))」「日本三大美祭り(他は前述の高山祭と秩父夜祭)」など、数々の三大祭りの1つに挙げられている日本を代表する祭りです。祇園祭という名称は、八坂神社が神仏習合の時代に比叡山に属して、「祇園社」と呼ばれていたことに由来します。

日付や時期

7月1日~31日

由来・起源・制定

863(貞観5)年、朝廷は疫病の流行により、神泉苑で初の御霊会を行いました。当時疫病は、恨みを現世に残したまま亡くなった人々の怨霊の祟りであると考えられており、疫神や死者の怨霊などを鎮めるための御霊会を開くに至ったのです。しかし、その後も疫病の流行は続きました。
さらに翌864(貞観6)年には、富士山の大噴火が起こって溶岩が大規模に流出。869(貞観11)年には陸奥(注12)で貞観地震(注13)が起こり、津波によって多数の犠牲者が出るなど、全国的に地殻変動が続きました。そこで深刻化した社会不安を払拭するため、貴族であった卜部日良麿(うらべのひらまろ)が全国の国の数を表す66本の矛を立て、その矛に諸国の悪霊を移し宿らせることで諸国の穢れを祓い、神輿3基を送り薬師如来を本地とする牛頭天王(注14)を祀って、御霊会を執り行いました。この869(貞観11)年に行われた御霊会が祇園祭の起源とされており、2019(令和元)年には祭りの1150周年を祝う式典が行われるなど、長い歴史を持っています。
八坂神社の始まりは諸説ありますが、平安時代に藤原基経という人が、北野天満宮のご神体である菅原道真の怨霊をなだめるため自宅を寄進してお寺にしたのが最初と言われています。その行いがインドで釈迦に自宅を寄進した祇園精舎の話に似ていることから、この地を祇園と呼ぶようになったとも言われています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

一般的に「祇園祭」と認識されている様々な祭行事は、八坂神社が主催するものと、山鉾町(やまほこまち)が主催するものに大別されます。
その中の山鉾町が主催する「山鉾行事」は国の重要無形民俗文化財(注15)に指定され、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。祭りのハイライトとなる山鉾行事は、山鉾が設置される時期により前祭(さきのまつり)と後祭(あとのまつり)の2つに分けられます。山鉾行事は「宵山(よいやま、前夜祭の意。前祭:7月14日 - 16日・後祭:7月21日 - 23日)」、「山鉾巡行(注16)(前祭:7月17日・後祭:7月24日)」が有名です。
八坂神社主催の神事は 「神輿渡御(神幸:7月17日・還幸:7月24日)」や「神輿洗(7月10日・7月28日)」などが有名で、花傘連合会が主催する「花傘巡行(注17)(7月24日)」も八坂神社側の行事と言えます。
宵山、宵々山、宵々々山には旧家や老舗にて伝来の屏風などの宝物の披露も行われるため、「屏風祭」の異名もあります。また、山鉾巡行では様々な美術工芸品で装飾された重要有形民俗文化財(注18)の山鉾が公道を巡るため、動く美術館”とも例えられています。
厄除けになるとされる「祇園粽(ぎおんちまき)」は、祇園祭の宵山の日に授けられ、1年間玄関先に飾ります。厄除けとして飾る粽は食べられませんが、食べられる祇園粽も一般に販売されています。
季節柄、この時期には、鱧(はも)料理が人気です。

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お金に関する事項

お祭りの祭、神社にお金やお供え物を納める場合、1,000円~1万円が目安だとされています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

お祭りの際に神社にお供え物を納める場合、のし紙の水引は赤白の「花結」で、表書は「奉納」とするのが一般的です。名入には寄進をする人の氏名を水引の下段に入れます。お金を納める際の祝儀袋も同様とします。

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その他の事項(宗教に関する事など)

神社にお参りをする際は、まず鳥居で一礼し、参道の端を歩きます。手水舎で手と口、体の外と内を清めます。神前の賽銭箱の前まで来たら鈴を鳴らし、お賽銭を入れて二礼二拍手し、手を合わせてお祈りします。その後一礼して神前を離れ、鳥居をくぐって出た後、振り返って一礼します。

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脚注

(注1)御霊会:志をとげられずに亡くなった人の御霊による祟りを防ぐための、鎮魂のための儀礼。
(注2)葵祭:京都市の賀茂御祖神社と賀茂別雷神社の例祭。
(注3)時代祭:平安神宮の例大祭(10月22日)に附属する年中行事。
(注4)日本三大祭り:日本御三大祭りは、神田祭(かんだまつり:東京都)、祇園祭(ぎおんまつり:京都府)、天神祭(てんじんまつり:大阪府)の3つ。
(注5)天神祭:日本各地の天満宮で催される祭り。なかでも大阪天満宮の例祭を言う。
(注6)山王祭:東京都千代田区にある日枝神社の祭り。
(注7)神田祭:東京都千代田区の神田明神で行われる祭礼。
(注8)高山祭:岐阜県高山市で毎年開催される、春と秋に開催される日枝神社例祭。
(注9)秩父夜祭:埼玉県秩父市で行われる秩父神社の例祭。
(注10)吉符入(きっぷいり):お祭りの最初に皆で集まる「団結式」のようなもので、八坂神社から神職を招きお祓いをしていただき巡礼の無事を祈願する行事。
(注11)疫神社夏越祭:神前に粟餅を供え厄除を祈願する京都八坂神社の例祭。
(注12)陸奥(むつ):現在の 福島県 、 宮城県 、 岩手県 、 青森県 の全域と 秋田県 の一部を占めた旧国名。
(注13)貞観地震:平安時代前期に、日本の陸奥国東方沖(日本海溝付近)の海底を震源域として発生した大地震。
(注14)牛頭天王(ごずてんのう):インドの祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の守護神であり、日本においてはスサノヲノ命(みこと)に習合され、京都祇園の八坂神社などに祀られて病気や災いを除く神。
(注15)重要無形民俗文化財:食住、生業、信仰、年中行事などに関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術など、人々が日常生活の中で生み出し継承してきた無形の民俗文化財のうち、特に重要なものとして国が指定したもの。
(注16)山鉾巡業:八坂神社の祭りで行われる、夏に発生しやすい疫病を除けることを祈願する行事。
(注17)花傘巡行:八坂神社 祇園祭の催しの1つで、傘鉾十余基・馬長稚児(うまおさちご)・児武者等列を整えて、八坂神社発着の所定のコースを巡行する行事。
(注18)重要有形民俗文化財:日本の文化財保護法において、無形の民俗文化財に用いられる衣服、器具、家屋その他の有形の民俗文化財のうち、特に重要なものとして国が指定したもの。

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