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日本の祭祀・祭礼

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博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

博多祇園山笠とは、博多の総鎮守(注1)として知られる櫛田神社(福岡市博多区)の毎年行われる神事(注2)です。700年以上の伝統があり、正式名称は「櫛田神社祇園例大祭」と言います。各地に伝わる素戔嗚尊(すさのおのみこと)(注3)に奉納される祇園祭(注4)の1つで、「博多どんたく」とともに博多を代表する祭りです。国の重要無形民俗文化財に指定されているほか、山笠の掛け声「おっしょい」は1996(平成8)年に「日本の音風景100選」(注5)に選ばれ、また、2016(平成28)年12月1日、博多祇園山笠を含めた日本全国33件の祭りが、「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産(注6)に登録されました。

日付や時期

7月1日~15日

由来・起源・制定

博多祇園山笠の起源については諸説ありますが、鎌倉時代の1241(仁治2)年に博多で疫病が流行した際、承天寺(注7)の開祖であり当時の住職である聖一国師(円爾)が町民に担がれた木製の施餓鬼棚(注8)に乗り、水を撒きながら町を清めてまわり疫病退散を祈祷したことを発祥とする説が一般的です。
安土桃山時代、島津氏と豊臣氏の戦いにより博多の街は焼け野原となりましたが、豊臣秀吉が帰国の際、博多の街をいくつかの区画毎に「流(ながれ)」としてグループ化して復興を行いました(太閤町割)。この「流」が博多祇園山笠のグループ単位の発祥となっています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

山笠行事は、7月1日に町境に注連を張り、辻々の御祓いをして夕刻箱崎浜まで当番町が清めの海砂を取りに行くお汐井取り(注9)という神事が行われます。7月4日は舁き山(かきやま)言われる山車(だし)(注10)の棒締め(注11)と試し舁き(注12)、6日に飾付をした後、7日には舁山の御神入れがあり、9日に流各町の汐井採り(箱崎浜)が済むと、いよいよ山笠が動き出します。飾り山笠は基本的には動かず、街のあちこちに展示され、絢爛豪華さで祭を引き立てます。10日は流舁き(注13)、11日は早朝に朝山(注14)、夕刻に他流舁き(注15)と続き、12日には追山(注16)の全コースを試走する追山馴らし(注16)、13日には福岡部に入る集団山見せがあり、翌14日最後の流舁きをして、15日追山の当日を迎えます。追山は午前4時59分、太鼓の合図で一番山笠の櫛田入り(注18)があり、境内を出ると昔ながらの巡路をとって洲崎町の回り止めまで、各流の山笠が次々と約4㎞を全力疾走します。追山が終わると山笠はそれぞれの当番町に帰り、直ちに解体されます。櫛田神社では最後の山笠の櫛田入りが終わると納めの能が舞われ、全ての山笠行事が終わりが告げられます。

戦後の一時期、山笠を建てた流は13流に増えたこともありましたが、現在の「流」は恵比須流・大黒流・土居流・東流・西流・中洲流・千代流の7流です(福神流は山笠を建てない)。なお「流」は複数の「町(町内会)」で構成され、各町が1年交代で流の運営を担っており、これを「当番町」と呼びます(東流のみ、当番町を持たず流全体で運営を行っています)。

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お金に関する事項

祭りの詰所やお神輿にお祝い金を包む場合、相場は3,000円から1万円とされており、迷う場合は5,000円ぐらいで良いかと思います。
また、お祭りの際に神社にお金やお供え物を納める場合、1,000円~1万円が目安だとされています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

祭りの詰所やお神輿にお祝い金を包む場合、祝儀袋は赤白の「花結」が基本で、表書は「御祝儀」などとします。水引下段の名入には氏名や会社名を記入します。お酒などの品を渡す場合も、のし紙は赤白の「花結」、表書は同じく「御祝儀」とします。
お祭りの際に神社にお供え物を納める場合、のし紙は赤白の「花結」の水引で、表書きは「奉納」とするのが一般的です。名入には寄進をする人の氏名を水引の下段に入れます。お金を納める際ののし袋も同様とします。

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服装やマナーなど

山笠期間中は行事参加者の間ではキュウリを食べることが御法度(禁止)となっています。禁止になったのは「キュウリの切り口が櫛田神社の祇園宮の神紋と似ているから」というのが一番有力な説です。また「夏が旬のキュウリを断ってまで祭りに懸ける」という意気込みとの説もあります。
櫛田神社や京都・八坂神社など水天神系の神紋の図柄は「木瓜(ボケ)の花」です。博多祇園山笠は女人禁制の祭りで、旧来の流に於いては子供山笠も含めて舁き手は男性のみになっています。

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その他の事項(宗教に関する事など)

神社にお参りをする際は、まず鳥居で一礼し、参道の端を歩きます。手水舎で手と口、体の外と内を清めます。神前の賽銭箱の前まで来たら鈴を鳴らし、お賽銭を入れて二礼二拍手し、手を合わせてお祈りします。その後一礼して神前を離れ、鳥居をくぐって出た後、振り返って一礼します。

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脚注

(注1)総鎮守:江戸の総(すべ)てを鎮(しず)め守(まも)る神社。
(注2)奉納神事:能や舞、お囃子などを神にささげる神事。
(注3)素戔嗚尊(すさのおのみこと):天照大神 (あまてらすおおみかみ) の弟。高天原 (たかまがはら) で大暴れし、天照大神を岩戸隠れさせる凶暴な存在であったため追放されたが、その後一転して英雄となり、八坂神社や氷川神社に祀られている。
(注4)祇園祭:毎年7月に行われる、京都市東山区の八坂神社(祇園社)の祭礼。「日本三大祭り」の1つ。
(注5)音風景100選:1996年環境省が「地域のシンボルとして大切にし、将来に残していきたいと願っている音の聞こえる環境(音風景)」を公募。これらのうち、特に意義があると認められる選定した100件。
(注6)ユネスコ無形文化遺産:伝統的舞踊、音楽、演劇、工芸技術、祭礼等の無形文化遺産を消失の危機から保護し、次世代へ伝えていくためユネスコにより指定された文化遺産。
(注7)承天寺:福岡県福岡市博多にある臨済宗東福寺派の寺院。
(注8)施餓鬼棚:仏教用語。施餓鬼(飢え苦しむ生き物や弔う者のない死者の霊に、飲食物を供えて経を読む供養)の時に設ける供養壇。
(注9)汐井採り:博多に伝わる風習。 “お潮井”は、事故やけがなどから身を清めて災いを払うために、筥崎宮前の箱崎浜の真砂(まさご)を取りに行く神事。
(注10)山車(だし):祭礼の際に引いたり担いだりする、様々な飾り付けを施した出し物(屋台)の総称。
(注11)棒締め:博多祇園山笠の流(ながれ)の舁き棒(かきぼう)を釘を使わず、縄で締めて台に固定する伝統の技。
(注12)試し舁き(ためしがき):各流(ながれ)がそれぞれの流区域内を舁き回る(かきまわる)こと。棒締め後に、山笠台の組み上がり具合を確認するために行う山笠の「試験走行」。
(注13)流舁き(ながれがき):各流がそれぞれの流区域内を練り歩くこと。
(注14)朝山:7月11日の午前5時から午前8時にかけて各流で行う流舁き
(注15)他流舁き(たながれがき):朝山が終わった後に行われる行事。舁き山が各自の流から外に出て、他の流の区域に出ること。
(注16)追山:山笠という山車(だし)が神社に集まり、太鼓の合図で市内の約4kmを競走する、福岡市博多区の櫛田神社の行事。
(注17)追山馴らし:7月15日に行われる「追い山笠」のリハーサル。
(注18)一番山笠の櫛田入り:一番最初に当番町の流(ながれ)を櫛田神社(福岡市博多区)に山笠を奉納すること。

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