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日本の祭祀・祭礼

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先帝祭(せんていさい)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

先帝祭とは、山口県下関市にある赤間神宮の祭事です。先帝とは安徳天皇(あんとくてんのう)を指します。下関市の指定無形民俗文化財(注1)に指定されています。

日付や時期

5月2日、3日、4日

由来・起源・制定

先帝祭の“先帝”とは、平安時代末期の1185(文治元)年に勃発した源氏と平家の「壇ノ浦の戦い」の際、弱冠8歳で崩御(注2)した安徳天皇のことを指します。つまり、先帝祭とは壇ノ浦の合戦で入水した安徳幼帝を偲ぶお祭りなのです。
壇ノ浦の戦いの翌1186(文治2)年、後鳥羽天皇が長門国(注3)に勅して(注4)安徳天皇の遺骸を納めた阿弥陀寺(現赤間神宮)境内に御影堂を建立し、安徳天皇の命日(3月24日)にその遺徳を偲ぶ先帝会を修したのが始まりです。以後毎年3月24日に安徳天皇の御陵(注5)の前で「御陵前祭」を営み、明治以降は祭日を太陽暦の4月23日に改めて例祭とし、その後更に現行の5月2日へと改められました。
赤間神宮は元々、山口県下関市にある阿弥陀寺と言うお寺でしたが、廃仏毀釈により、神社になったという経緯があります。先帝祭の主人公の安徳天皇を祀っており、江戸時代までは安徳天皇御影堂と言われていたそうです。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

5月2日は平家落人の子孫らで組織される全国平家会の参列のもとで御陵前での神事(注6)を始め、「平家一門追悼祭」などが行われます。 翌3日には「平家の遺臣で中島四郎太夫という者が、漁師に身を窶して(注7)平家再興を計りつつ下関に潜伏、先帝会には威儀(注8)を正して参拝した」という故事(注9)に因んで、その子孫に端を発する「中島組」という漁業団体員が参拝、これを「中島組参拝の式」と言います。それに次いで行われる「上臈・官女参拝の式」は、壇ノ浦の戦いの後、生き延びた侍女達が先帝会には容姿を整えて参拝したことに由来すると言います。これが江戸時代に至って、当時存在した稲荷町遊廓(注10)の遊女によって受け継がれて、現在の「上臈道中(じょうろうどうちゅう)」となったと言います。吉原の花魁(注11)に模した太夫が禿(かむろ)(注12)、上臈(注13)、稚児(注14)、警固(けいご)らを従え、下関市中を外八文字(注15)を踏んで行列をなします。

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お金に関する事項

お祭りの祭、神社にお金やお供え物を納める場合、1,000円~1万円が目安だとされています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

お祭りの際に神社にお供え物を納める場合、のし紙の水引は赤白の「花結」で、表書きは「奉納」とするのが一般的です。名入には寄進をする人の氏名を水引の下段に入れます。お金を納める際のお金包みも同様とします。

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その他の事項(宗教に関する事など)

神社にお参りをする際は、まず鳥居で一礼し、参道の端を歩きます。手水舎で手と口、体の外と内を清めます。神前の賽銭箱の前まで来たら鈴を鳴らし、お賽銭を入れて二礼二拍手し、手を合わせてお祈りします。その後一礼して神前を離れ、鳥居をくぐって出た後、振り返って一礼します。

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脚注

(注1)下関市の無形民俗文化財:下関で長く伝えられてきた祭りや様々な行事などの風俗慣習の中で伝承してきた民俗芸能で、下関市が認定したもの。
(注2)崩御:天皇・皇后・皇太后・太皇太后が死ぬことの尊敬語。
(注3)長門国(ながとのくに):山口県 西半部を占めた旧国名。
(注4)勅す(ちょくす):天皇が命令を下すこと。
(注5)御陵前:天皇陵の近隣に位置すること。
(注6)神事:神に関するまつりごと、儀式。
(注7)身を窶す(みをやつす):目立たないようにわざとみすぼらしい身なりをする。やつれるほど、あることに熱中する。
(注8)威儀:作法にかなった立居振舞。
(注9)故事:昔にあった物や出来事。また、遠い過去から今に伝わる、由緒ある事柄。
(注10)稲荷町遊廓:山口県下関市に存在した遊廓、花街。
(注11)吉原の花魁:江戸時代以来の東京の遊郭街である吉原の中で、位の高い遊女。
(注12)禿(かむろ):頭に髪がないことを言い、肩までで切り揃えた児童期の髪型、あるいはその髪型をした子供を指す。
(注13)上臈:身分の高い人。
(注14)稚児:幼児、あるいは少し成長した児童。寺院で雑用に従う少年。
(注15)外八文字:遊女が郭内を練り歩くとき、一旦内側に向けた爪先を更に外側に開いて足を運ぶ歩き方。

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