日本の祭祀・祭礼
なまはげ
出典:IBC冠婚葬祭辞典
なまはげとは、秋田県の男鹿半島周辺で行われてきた伝統的な民俗行事の名前であり、同時に仮面をつけ藁の衣装をまとった神(来訪神)の使いも指します。なまはげは、怠け心を戒め、無病息災・田畑の実り・山の幸・海の幸をもたらす、年の節目にやってくる来訪神とされています。男鹿市などの調査によると、2012~2015(平成24~27)年において市内148地区のうち約80地区でなまはげ行事があると報告されています。 国の重要無形民俗文化財(注1)に指定されているほか、「来訪神:仮面・仮装の神々」の1つとしてユネスコの無形文化遺産(注2)に登録されています。
日付や時期
12月31日
由来・起源・制定
200年以上の歴史を有する、伝統的な祭祀、行事です。
妖怪などと同様に民間伝承であるため、正確な発祥などは分かっていません。秋田には「漢の武帝(注3)が男鹿を訪れ、5匹の鬼を毎日のように使役していたが、正月15日だけは鬼たちが解き放たれて里を荒らし回った」という伝説があり、これをなまはげの起源とする説があります。
行事や風習・慣習、季節に関する事項
異形の仮面をつけ、藁などで作った衣装をまとったなまはげが、家々を巡って厄払いをしたり、怠け者を諭したり脅したりします。
なまはげは怠惰や不和などの悪事を諌め、災いを祓いにやってくる来訪神(注4)です。大きな出刃包丁(あるいは鉈(注5))を持ち、鬼の面、ケラ(注6)やミノ(注7)のような用具、ハバキ(注8)をまとって、なまはげに扮した村人が家々を訪れ、「泣ぐ子(ゴ)は居ねがー」「悪い子(ゴ)は居ねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者や子供、初嫁を探して暴れます。
男鹿市の真山神社では、なまはげが登場する「なまはげ柴灯(せど)まつり」を神事と位置付けています。
脚注
(注1)重要無形民俗文化財:食住、生業、信仰、年中行事などに関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術など、人々が日常生活の中で生み出し継承してきた無形の民俗文化のうち、特に重要なものとして国が指定したもの。
(注2)ユネスコの無形文化遺産:伝統的舞踊、音楽、演劇、工芸技術、祭礼等の無形文化遺産を消失の危機から保護し、次世代へ伝えていくためユネスコにより指定された文化遺産。
(注3)漢の武帝:前漢の第7代皇帝。在位・前140~前87年。
(注4)来訪神:決まった時期に人間の世界に来訪し、豊饒や幸福をもたらすとされる神。
(注5)鉈(なた):薪割りなどに使う、短く厚く幅の広い刃物。
(注6)ケラ:カヤ・スゲ・ワラなどを編んで、体を覆うように作った雨具「蓑(みの)」のこと。
(注7)ミノ:カヤ・スゲ・ワラなどを編んで、体を覆うように作った雨具。
(注8)ハバキ:長時間の歩行や労働をする際の防寒や保護のため、足のすねに着ける脚衣。藁(わら)や布で作られるもので、後世の「脚絆(きゃはん)」に当たる。
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