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ホーム > 日本の祭祀・祭礼 > お水取り(東大寺二月堂修二会)/奈良県奈良市

お水取り/東大寺二月堂修二会(おみずとり/とうだいじにがつどうしゅうにえ)

出典:IBC冠婚葬祭辞典

お水取りとは、奈良県奈良市にある東大寺二月堂で行われる「修二会」と言う法会の中の一行事です。 修二会の目的は、仏の前で罪過を懺悔すること(悔過)であり、その間、心身を清めた僧(練行衆)が十一面観音(注1)の前で宝号(注2)を唱え、荒行(注3)によって懺悔するとともに天下安穏などを祈願することです。 お水取りはあくまで行中の一部であり、旧暦2月に行われていたため「修二会(しゅにえ)」と呼ばれていますが、正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」です。

日付や時期

3月1日~14日

由来・起源・制定

東大寺二月堂の修二会は、752(天平勝宝4)年、東大寺開山良弁僧正(ろうべんそうじょう)の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)が創始したもので、2022(令和4)年には1,271回を数えます。
『二月堂縁起絵巻』(1545(天文14)年)によれば、実忠が修二会の最後に神名帳(注4)に記した1万3,700余座の神々の名を読み上げ祈念したところ、遠敷明神だけが遅刻してこれを聞き逃し、これを悔やんだ遠敷明神は二月堂のほとりに「香水(こうずい)」(注5)を奉じると約束しました。すると、黒と白の鵜が岩を割って飛び出し、その岩から泉が湧いたので、石を敷いて閼伽井(あかい)(注6)とした、とあります。
二月堂本尊の十一面観音を祀る懺悔祈祷の厳行であり、お水取りの通称は、東大寺領であった若狭の荘園から水を運搬して来たことに由来します。 古代には、天災や反乱などの国家的な災いは「国家の病気」によるものと考えられ、その病気を取り除く十一面悔過は国家的な宗教行事であり、「不退の行法」(注7)として引き継がれて来ました。
この行のハイライトは達陀(だったん)の行法であり、練行僧が松明(注8)を持って走る姿は奈良の風物詩となっています。 近畿地方では、「お水取りが終わると春が来る」と言われています。

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行事や風習・慣習、季節に関する事項

狭義の「お水取り」は、修二会期間中の3月13日深夜(年によって日が変わる場合があります)に、二月堂前の若狭井という井戸から観音菩薩にお供えする「お香水」を汲み上げる儀式です。

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贈答品などについて

お寺にお供え物やお金を納めることを「奉納」もしくは「寄進」と言います。「奉納」は金銭だけではなくお酒などの品物や絵馬などの他に、芸能や競技、行事など形のないものを納めることもあります。お祭りの舞踊、相撲や弓道も昔から神事として奉納されてきました。「寄進」は一般的にはお寺に納める金品のことを言います。

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お金に関する事項

行事やお祭りの際に、お寺にお金やお供え物を納める場合、1,000円~5,000円程度が平均的とされています。

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のし紙・掛紙の水引や表書について

お寺にお金やお酒などの品物を納める場合、のし紙は赤白の「花結」で、表書は「奉納」とするのが一般的です。

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その他の事項(宗教に関する事など)

お寺にお参りする場合、山門の前で一礼して門をくぐり、帰りも一礼します。手水舎で手と口、体の外と内を清めます。本堂の賽銭箱の前まで来たら、お賽銭を入れて鈴を鳴らし合掌し、一礼します。お線香の場合は右手に持ち左手を添えてお供えします。お寺では神社と違い合掌はしますが、拍手はしません。

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脚注

(注1)十一面観音:仏教の咽喉対象である頭部に11の顔を持つ菩薩の一尊。
(注2)宝号:菩薩 (ぼさつ) の名前。
(注3)荒行:願を成しとげるため、山中に籠(こ)もったり滝に打たれたりなどして行う、激しく苦しい修行。
(注4)神名帳:神社とその祭神の名を記した帳簿。
(注5)香水(こうずい):仏教用語。道場や仏具、または体を清めるための香を加えた浄水。現代では仏前に供える水のことも指す。
(注6)閼伽井(あかい):仏前に供える水をくみ取るための井戸。
(注7)不退の行法:1270年以上、一度も絶えることなく続く東大寺二月堂の伝統行事。僧侶が人々に代わり罪を懺悔し、国家の安泰と万民の豊楽を祈る。
(注8)松明(たいまつ):屋外の照明として使うために、木切れや枯草を束ねたものに火を点け、手で持てるようにしたもの。

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